「こんだあ、西中瀬(四区)でもみがましい屋台をこしゃいたじゃん」
「それもそうづら、あそこうは中瀬でいっとう早く屋台を作ったとこじゃん。
それとせっかくこしゃいた屋台にいみがいらんように早くから木を
買ったそうだ。部落の衆も大勢いるし、若い衆もがんばっている。それに、屋台建設の役の衆もちゃんとやってくれてるで、ぶしょったいもんは
できゃへんよ。四区の若い衆はなんしょかんしょいいものを早くこしゃう
とゆっていたから」。
「おおい、背戸のほうから音が聞こえるぜ。あっちから屋台が来たぜい。けっこいし、
がんこいい屋台じゃないかい」「こんだの屋台は彫りもんもすごいじゃん、
てんこちょの彫りはひょんきんじゃん」。ばんげになって屋台に灯りが入り
「電灯も今ままでの屋台と違ってあの蝋燭の明かりがなんともいえんじゃん」」。「いいの、こしゃいたじゃない」。
「あんたこのあいだ落成式に、あんもうをまいたけど、あんたはいやへんかった。沢山拾ったよ」。
「今度の屋台はでっかいなあ、道もせばいし、もっとくろの方で見んと危ないよ」
「ちゃっと帰っておっとさと、おっかさに見に来るようにゆってくる」「とんで帰らんと間に合わんに」。
「早く見にいじゃー。」「
近所の衆も来るといかん。あんまりぶしょったく
しとくとみんなによんなって言えん。あんまりらんごく
ないで、ちったあくろのほうにかたずけにゃあ。」
「夕べは、赤ん坊が、ひなっていて、もうさしていたし、又、若い衆がはしゃいでいて遅くまで起きていたもんで、
ねーるのが遅くてねぶくてしょうがない。」
「朝起きたら、ねんぼが痛くてしょうがなかった。なんだかわからんが。多分、夕べはしゃいで、そそっかしいもんで、どっか
で転んだじゃない。ねんぼを見たら血がしんでた。夕べはこりはてた。」
「夕べごっそうがたくさんあったけど、みんな食べてくれへんもんで、今夜はぬくと
すぎるし、いきりっぽいでかーばらんがねっがてしまうでたくさん食べておくれ。」と言っている時、
おっ様が通り、祭りのごっそうの立ち話をしているとき、「今日のカレーはしゃびしゃびだったが、
なんだかうまかった。」とのこと。
「はくせっこも沢山もらったでちいったー食べてくれんけ」と言われた。
「ちんちんのカレーとは違ってつむたいで食べれるよ」
「次回につづく」
筆: 伊藤菊司