皆さんは「しめなわ」って知ってますよね。
しめなわは注連縄・七五三縄・一五三縄・締縄・標縄などと書かれます。また、〆飾りとも呼ばれたりします。
ただし、縄の”ない方”は地域によって異なり、その形は千差万別です。太く短く作るところもあれば、長々と作るところもあります。一定間隔で〆の子(藁)や
一方、語源的にはしめなわの「しめ」は「占め」を意味するといわれ、一定の空間などを占有することを示すものだとされています。すなわち、聖域などを神の場所として結界するための道具なのです。
しめなわはすでに『古事記』『日本書紀』の神話のなかに登場しています。須佐之男尊の暴虐に怒った天照大神は天の岩戸に隠れてしまったので、天が下は真っ暗になり、種々の災いが起こってしまいました。困った神々は一計を案じて天照大神を岩戸の中から誘い出すことに成功するが、このときに、岩戸にしめなわをかけて「もうこの中へは入らないでください」と大神に言ったという。これが注連縄についての最古の記録だとされています。
ご神木や霊石などの周囲に張り巡らせるのも、聖なるものが汚れないよう守るとともに、霊性の不用意な流出を防ぐ意味があるものと思われます。鳥居の下や祭場の周囲にかけられるのも同様のことかと思われます。
狛犬(磐田市白羽神社) | 御神木(浜松市山住神社) |
鳥居(藤枝市飽波神社) | 霊石(磐田市野邊神社) |
神社ではさまざまな場面で注連縄が使われていますが、その形やかけ方はいろいろです。出雲大社拝殿の注連縄は太さ三m、長さ八m、重さ千五百kgと大きなことで有名ですが、上には上があります。日本一といわれているのは福岡県の宮地獄神社本殿にかけられているもので、直径2.5m、長さ13.5m、重さが五トンもあります。
注連縄にはどんな種類があるのか
注連縄にはさまざまな種類や形があり、これを張りめぐらす場所や用途によって使い分けています。また、地方によって特色のある注連縄があります。しかし、一般的には
前垂注連は細い藁縄にいく筋かの藁茎と紙垂を垂らしたものであり、神社の各所に下げられるほか、祭礼のときに家々の軒下などに下げられます。また、地鎮祭のときなどにも、四方の竹の間に渡したりします。このほか、神聖な場所を画するときには、前垂注連が多用され、これは拝殿などにかける他の注連縄と異なり、祭礼や神事などのときに適宜作られるものであります。
前垂注連(富岡八幡宮) |
鼓胴注連は中央が太く、両端を細くした縄に藁茎や紙垂を垂らしたもので、拝殿の前に下げられます。出雲大社の拝殿にかけられている注連縄がこれで、鼓胴注連は拝殿のメインになるほど大きなものが多く、藁茎は三本、5本とか七本ではなく、多くの藁茎をまとめて房状にしたものを垂らしたりします。
鼓胴注連(秋葉山本宮秋葉神社上社) |
牛蒡注連は一方を細く、もう一方を太くして、同じく藁茎と紙垂を垂らしたものです。牛蒡のような形をしていることからその名があり、鼓胴注連と同じく、拝殿に下げられることが多く、京都・北野天満宮の拝殿の注連縄がこれです。そのほか、正月の注連飾などにも使われています。
ちなみに、牛蒡注連を拝殿などに下げるときは、「右太、左細」とするのが原則です。つまり、太い方が向かって右になります。
牛蒡注連(浜松市春日神社) |
輪注連、輪飾は注連縄を結んで輪にしたものです。
上の図のいわゆる縄の部分は「縄」といい、下に下がっている藁の部分は「〆の子」いい、白い紙は「紙垂」と言います。これらの部分にはちゃんと意味があります。
●縄=雲 ●〆の子=雨 ●紙垂=雷
だそうです。稲作を中心とした農耕社会にとって、天気はその収穫には非常に重要。そんな意味からきていると言います。