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神社に鳥居があるのはなぜ?

よく知られているように、神社を表わす地図記号は鳥居です。なぜ神社がこの記号になったのかはわかりませんが、これはじつに象徴的なことといえるのではないでしょうか。なぜならば、鳥居こそ神社に必要不可欠なものだからです。

ご神体を納める本殿のない神社はありますが、鳥居のない神社はまずありません。それほど鳥居は重要なものなのです。言い方を変えますと、われわれ日本人は、壮麗な社殿などが建っていなくても、鳥居があれば、そこが神聖な神の領域であることを知ることができるわけです。すなわち、鳥居は聖域と俗界の境界に立ち、その内側を汚してはならないことを示しているもの、ということができます。

鳥居の起源は、今のところ明確になってはいません。しかし、それを解明するヒントはいくつかみられます。その一つは、古代の神道においては、柱が重要な役割を果たしたということです。もともと日本の神さまは、神殿の中に鎮座しているのではなく、神の意志や人々の求めに応じて聖地や儀式の場などに降臨してくるものと考えられていました。このときに、神が目印とするのが、柱状にそびえ立つものでありました。

それゆえ、古代の まつ りにおいてもっとも重要な祭具は、神の降臨を仰ぐための柱でした。これを依り代よりしろといい、神道ではとくに神籬ひもろぎといいます。ちなみに、神を一柱、二柱と数えるのは、こうしたことに由来するともいわれています。高さ十八メートルもの柱を四本も境内に立てることで知られる諏訪大社(長野県)の御柱祭おんばしらまつりは、そうした儀礼の名残と考えられています。また、伊勢神宮(三重県)本殿の床下には心御柱しんのみはしらと呼ばれる、とくに神聖とされる柱がありますが、これも本来は依り代として機能していたとされています。正月の門松なども形式化した依り代であります。

ちなみに、現存最古の鳥居は山形県の最上地方にある石造のもので、平安後期の作と推定されています。鳥居の造形のシンプルさは神道の本質をよく反映していると思いますが、じつは数多くのバリェーションがあります。大別すると神明系と明神系の二系統があり、明神系のほうが装飾性が強く出ています。その神社がどちらの系統か、鳥居から判断してみるのもおもしろいでしょう。なお、鳥居から社殿に続く道を参道というが、その中央は、正中せいちゅうといって神の通り道とされるので、避けて歩くのが作法とされています。

鳥  居  の  構  造
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鳥  居  の  種  類
台輪鳥居 八幡鳥居 伊勢鳥居
daiwa.gif(15995 byte) hatiman.gif(16081 byte) 中瀬天神社
島木の下に台輪がある。
(東京 神田神社)

笠置の端が斜めになっている。
(小松 八幡神社)

笠木が五角形になっている。
(豊田 郷社八幡宮)

鹿島鳥居 春日鳥居 三輪鳥居
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貫が四角で、柱から出ている。

笠木の端が垂直になっている。

横に脇鳥居が付属している。

明神鳥居 両部鳥居 山王鳥居
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笠木と島木に反りがある。
(貴布祢 貴布祢神社)

柱に袖柱が付属している。
(浅羽 八幡・春日神社)

笠木の上部に合掌がある。
(東京 日枝神社)

神明鳥居 住吉鳥居 靖国鳥居
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柱が垂直で笠木も貫木も円柱。
(中瀬津島神社)
柱が四角いのが特徴。

貫が四角になっている。
(中瀬天神社)

※洋泉社MOOK「これだけは知っておきたい神社入門」より
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