待ちに待った、新しい屋台の建設が始まりました。今までのものは、20年ほど前に隣の町から中古を購入した本屋台と町内の有志が
やはり二十数年前に作ったものの2台を毎年引き回していました。
しかし、それぞれの老朽化に伴い引き回しについて事故等を心配する声が出始めるとともに、近隣の町内会において屋台の新築が行われるよ
うになり、私たちの町内会でも新しい屋台を作ろうという気持ちが大きくなり、数年をかけて着手することができました。
その間には、町内への協力の呼びかけやアンケート等を行い、町内会で組織された屋台建設委員会を中心に新しい屋台の仕様が
企画され、4月末地元の大城総建に発注のはこびとなりました。現在は製材所において大割りされた材料が自然乾燥していると
ころです。完成は平成17年7月を目標に進められ、来年の祭りにはお披露目できることでしょう。
土台になるケヤキの大割材 | 柱になるヒノキ材等 |
屋台の周りの腰板になるヒノキ材 | 屋根にのる彫刻(鬼板、懸魚)の板材 |
割れ防止剤を塗っているところ |
11月になって屋台の木取りが始まりました。5月より約半年間自然乾燥を行ってきた木に墨入れを行い、ノミを入れ木取りが始まりました。
本当は、1年間くらいは寝かせておき、乾燥させた方が木のためにはいいのですが、来年の祭りに間に合わせるためには今から始めなけれ
ば間に合わない!ということで加工が始まりました。
乾燥中の木は、ほこりを被り、ざらざらして見た目はあまりいい物ではありませんでした。が、図面通りの大きさに切り、カンナをか
けた表面はツルツルピカピカですばらしい物になってきました。
この写真は、屋台の建設をお願いしている大城総建さんの工場です。
土台になるケヤキの材料です。長さは約4.5mです。 | 同じく土台の横木です。 |
これは屋台の中で使われる物です | 大土台の重ねて乗せられるヒノキ材です |
ここで屋台寸法図が見られます。 | |
これはどこに使われるのでしょう? |
年明け早々からいよいよ屋台の組立が始まりました。と、言っても土台だけですが、工場の隅で行われています。ケヤキの太い土台が組まれ、その上に ヒノキの台が組まれています。少しずつ屋台の形が見えてきます。。
土台が仮組みされました | 普段は木が灼けないよう毛布などで養生されています |
横から見たところです。小さく見えます。 | 一番奥が棟梁の大城さんです。手前は与ぐ美の・・・ |
3月に入り、ようやく組立が始まりました。8月のまつりまで残すはあと5ヶ月で少し心配になっていたところでしたが、 ちょっと安心。前後の車輪、舵装置や舞台の下の組木が取り付けられ、これからは彫刻の取り付けを行いながら屋台を組 み立てていきます。
土台の組まれた様子。左の前になります。 | ほぼ全体の見える物はこれだけです。現場が狭くてうまく撮影ができません。 |
屋台の前部に取り付けられた舵棒です。左右に動かすことにより向きを変えます。結構、力が必要です。 | 屋台内部の舵装置を上から見たところです。屋台に付けられる機械類はこれだけです。 |
前輪です。これで向きを変えます。 | 後輪です。前輪に比べずいぶん大きくなります。 |
舞台のすぐしたに付けられる組木 | 端部に与ぐ美の「与」の字が彫られています |
組木はこのように釘を使わずに取り付けられています |
屋根の前・後端につける唐破風の製作が始まりました。4寸厚の檜を加工して作ります。真ん中でつなぎ合わせることが多いので
すが、与ぐ美の屋台は1枚の板で作られます。
上から順に中にくりぬかれるため、4寸の厚さが残るのは一番上だけです。一番下は約1寸の厚さになります。
(言葉ではちょっとわかりにくいですね)
これが厚さ4寸のヒノキ材 | 前後のものがあります |
このように下へ行くに従って薄くなります | 唐破風が取り付けられました。これを作るために直径1mほどの木が使わ れています。屋台は住宅と違って見た目以上の量の材料が使われています。 |
各所の組立状況を順不同でお知らせします。
力神、鍋ぶたもつけられました。力神は梁を支える形になります。 | 屋台はここで組み立てられています。 |
これは後ろ左側の力神です。 | 後ろの唐破風、鍋ぶた、力神です。唐破風の幅は3mです。 |
後ろの腰回りです。大体出来上がりました。 | 左側の腰回りです。駒寄もできました。ここは完成です。 |
斜め後ろから見たところです。 | 屋根を中から見たところです。もう少し時間がかかります。 |
舞台がつくところです。 | 左の写真を上から見たところです。 |
最初は力神がくる予定でしたが、力神が上に独立してついたため竜になりました。 | 木鼻のつくところに前側は竜がついています。 |
屋根の左側と右側です。細部は完成しています。 | |
上の写真の格子状の部分を下から見るとこんな具合です。白い布の上側の隙間に欄間彫刻が入ります。 | |
後ろの鍋ぶたです。飛竜が彫られています。 | 前の鍋ぶたには鶴が彫られています。 |
力神はこのように取り付けられています。足の爪まで細かく彫られています。 | |
後ろの妻虹梁です。 | ブレーキの軸です。後ろの輪につけられ、右側の長方形のものがブレーキパッドです。 あまり使わないかもしれません。 |
大斗と呼ばれる組木です。 | 左後ろの舞台の下の組木です。結構ボルトが使われてます。 |
これは多分、欄間になる彫刻の材料? | 中がくりぬかれた板は手すりの最下段につけられるものです。 |
横にされているのは屋台の上り下りに使われる梯子です。 | 新しくできた提灯が見えます。色がちょっと・・・ |
舞台も張られました。ここで子供たちのお囃子が行われます。 | 屋根も張られ、上り下りする小さな口が付けられています。 |
屋根に上がる梯子もできました。 | だけど、あの穴から入れるかな? |
屋台より先に落成式の看板ができました。 | |
前側と横側の高欄です。きれいに出来上がっています。 | |
これが後ろの高欄です。 | そしてこれは、舞台の前端に作られた神社のお札をたてる台です。 |
これは屋根の上です。縁にある丸い金具と細い線は丸提灯をを吊す止め金具と糸を通す溝です。 提灯には電灯でなくロウソクが灯されます。 |
今年の祭りには彫刻(欄間)が間に合わないことが決定的となりました。
やむを得ず、彫刻がないままで落成式と入魂式を行います。彫刻の材料だけは持ち込み、入魂を行います。
本体はごらんの通り出来上がっています。欄間と脇障子がはまっていません。 | ここに脇障子がはまります。これはなんとか間に合いそうです。 |
残念ながらここにはめる彫刻が間に合いません。このまま祭りを迎える訳です。 |
何が起こったのか?
屋台の照明に使う電気を以前は発電機を使って起こしていたんですが、騒音の問題とか熱が出て暑いなどの理由から今度の屋台には、バッテリーを載せて照明に使おうということになりました。屋根の横につける丸提灯にはロウソクが復活することになりました。(ロウソクの明かりは少し暗くなるけど柔らかな明かりとなってなかなかいいものです)
さて、バッテリーですが大型車用の24Vをつけて、インバーターを介して100V用の電灯を灯けます。蛍光灯は小さめのものと言うことで20Wにしました。さあ!点灯です。
なんてことはない。たった5分で電気を使い切ってしまいました。最低でも2時間は必要なとこにたった5分です・・・
この続きは次回です。どうなるでしょう・・・・・
結局、電灯の数を減らし、電球の明るさも半分くらいにして使えるようになりました。ずいぶんと試行錯誤した結果です。 でもきっとこれからは発電機を使わない環境に優しい屋台が増えると思います。 詳細は今後お知らせしていきます。 |
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これが24vから100vに変換するインバータです。1800wと800wです。 |
いよいよ最終段階です。提灯をつけたり、太鼓をセットしたり、駒止にさらしを巻いたりします。 | |
ロープの端をロープの中に織り込んでいきます。素人ではできません。 | 大太鼓は重くて揚げられないためフォークリフトで上に揚げます。 |
屋台を使わないときにはジャッキアップしてこの上に乗せて車軸に力がかからないようにします。 | 初めて作業場の外に出されました。 |
箱棟に付けられた照明用のコンセントと安全ベルトの固定金具 | 彫刻を照らす照明灯 |
これが作業場の全景です。ここで作られました。 | 作業場の内部です。今、彫刻にワックスを塗っています。 |
ここにロープを固定します。大きさを決めた後余分な部分を織り込みます。 | 御簾脇をこういう形で見るのは初めてです。 |