私たちの住む地方では「火伏せの神」として昔から秋葉山秋葉寺を祀り信仰してきました。ここの御本尊は観世音菩薩ですが
ともに祀られている「天狗:秋葉山三尺坊大権現」は、もとは信濃国(長野県)下高井郡穂高村出身の人間で、信州戸隠山や越後
守門岳の麓で荒行をし、生きながらにして天狗になったと言われている。
この天狗についての言い伝えは数多く残されているが、三尺坊は天狗の羽団扇をあおぎ、水の神を呼ぶと伝えられています。これは山 の神(天狗)が水の神を使役し火を消すという信仰によると思われます。秋葉神社の神紋は「楓」ですが、天狗の羽根団扇であるとも いわれています。
私たちの屋台も木でできています。これから末永く屋台を火災等から護って行かなくてはなりません。その願いを込めて、鬼板には大 天狗を描きました。また、懸魚には京の五条大橋の上での武蔵坊弁慶との話で有名な「牛若丸」が天狗の配下と言われているカラス天 狗と幼少の頃鞍馬山にて剣術の修行を行っている様子を描いています。
そして、欄間にはやはり屋台を護ると言う意味を込めて、中国・朝鮮・日本において、天の四方の方角を司ると信じられてきた神獣である 「四神」、白虎、青龍、玄武、朱雀のうちの西方を護ると言われ、細長い白い虎の形をした(虎ではない)白虎と、北を護る足の長い亀に 蛇が巻き付いた形で描かれる玄武を配しています。
鬼板 三尺坊大権現(大天狗)とカラス天狗 |
懸魚 牛若丸とカラス天狗 |
鍋ぶた 飛竜 |
欄間 白虎と玄武 |
子供の成長と出世を願って空高く泳ぐ鯉のぼりとして慕われている鯉は出世魚と考えら
れています。この屋台もめでたきもの、子供達の守り神として鯉を配することにしました。 図柄は鯉の滝登りを表す右の脇障子に始まり、滝を登り切り竜となった一対の飛竜を鍋ぶたに、その竜が再び地上に降りて くる様子を左側の脇障子で表しています。 |
付録 四神 | |
【白虎(びゃっこ)】 中国の伝説上の神獣で、西方を守護 する。細長い体をした白い虎の形をしているが虎ではない。白は、五行説では西方の色とされる。季節は秋とされる。 |
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【玄武(げんぶ)】 玄天上帝ともいう。北方を守護する。 足の長い亀に蛇が巻き付いた形で描かれることが多い。玄とは黒を意味し、五行説では北方の色とされる。宋代においては 避諱によって、真武と改名されている。 |
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【青龍(せいりょう)】 中国の伝説上の神獣で、東方を守 護する。長く舌を出した竜の形とされる。青は五行説では東方の色とされる。 また、青龍の季節は春とされている。 |
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【朱雀(すざく)】 中国の伝説上の神獣(神鳥)で、四神 (四獣)・五獣の一つ。南方を守護する。翼を広げた鳳凰状の鳥形で表される。朱は赤であり、五行説では南方の色とされる。 |